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東京地方裁判所 昭和45年(特わ)55号 判決

本籍ならびに住居

東京都新宿区三栄町一三番地

医師

大塚敬節

明治三三年二月二五日生

右の者に対する所得税法違反被告事件について、当裁判所は検察官秋田清夫出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人を罰金二、〇〇〇万円に処する。

右罰金を完納することができないときは、金一〇万

円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、東京都新宿区三栄町一三番地において修琴堂大塚医院の名称で漢方専門の内科医を開業しているものであるが、自己の所得税を免れる目的で、診療収入の一部を除外して簿外預金を蓄積する等不正な方法により所得を秘匿したうえ

第一、昭和四一年分の実際課税総所得金額が五二、〇九八、九〇〇円あつたのにかかわらず、昭和四二年三月一五日同都渋谷区千駄ケ谷四丁目一八番地所在の所轄四谷税務署において、同税務署長に対し、同年分の課税所得金額が四、二六四、九〇〇円で、これに対する所得税額が八二二、四五〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もつて同年分の正規の所得税額二九、九七〇、一七〇円と右申告税額との差額二八、九六七、七二〇円を免れ

第二、昭和四二年分の実際課税総所得金額が五九、九五九、〇〇〇円あつたのにかかわらず、昭和四三年三月一五日、同都新宿区三栄町二四番地所在の所轄四谷税務署において、同税務署長に対し、同年分の課税総所得金額が五、四八一、〇〇〇円で、これに対する所得税額が一、三九四、八〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もつて同年分の正規の所得税額三五、二八八、五〇〇円と右申告税額との差額三三、八九三、七〇〇円を免れ

たものである。

(なお修正貸借対照表は別紙一、二のとおりであり、課税総所得金額および逋脱税額計算書は別紙のとおりである。)

(証拠の標目)(かつこ内は立証事項であり、数字は別紙修正貸借対照表の勘定科目の番号を示す。)

一、検察事務官作成の捜査報告書(三の1 四の1)

一、大蔵事務官作成の次の書面

1 銀行預金および貸付信託各年分残高調査書(三の2、3、4、5、6、7 四の3、4、5、6、7)

2 郵便振替貯金調査書(三の2)

3 有価証券各年分残高調査書(三の8、9、10 四の8、9)

4 有価証券(株式)調査書(三の10)

5 大塚恭男勘定調査書(三の17)

6 配当金調査書(三の20 四の20)

7 事業主貸勘定調査書(三の15 四の16)

8 事業主借勘定調査書(三の18 四の18)

9 たな卸薬品調査書(三の11 四の11)

10 雑所得および非課税所得調査書(三の22 四の22)

11 土地調査書(四の15)

12 不動産所得調査書(三の23 四の23)

一、大塚福栄の検察官に対する名供述調書(全般)

一、検察事務官作成の電話聴取書(全般)

一、押収してある次の証拠物

1 青色申告書類綴一綴(昭和四五年押一四二三号の21)(全般)

2 所得税確定申告書等一綴(同押号の22)(全般)

一、被告人の大蔵事務官に対する各質問てん末書(全般)

一、被告人の検察官に対する各供述調書(全般)

一、被告人の当公判廷における供述(全般)

(法令の適用)

判示各事実につき所得税法二三八条。いずれも罰金刑選択。併合罪処理につき刑法四五条前段、四八条二項。換刑処分につき同法一八条。

よつて主文のとおり判決する。

(裁判官 松本昭徳)

別紙一

修正貸借対照表

大塚敬節 昭和41年12月31日

〈省略〉

〈省略〉

別紙二

修正貸借対照表

大塚敬節 昭和42年12月31日

〈省略〉

〈省略〉

別紙第三

課税総所得金額及び 脱税額計算書

〈省略〉

注1. 4,264,900×45%=1,919,205

1,919,205-612,430=1,306,775

2. 52,098,900×70%=36,469,230

36,469,230-6,162,430=30,306,800

3. 184,693×7.5%=13,851

4. 5,481,000×45%=2,466,450

2,466,450-631,200=1,835,250

5. 59,959,000×70%=41,971,300

41,971,300-6,181,200=35,790,100

6. 305,940×7.5%=22,945

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